情炎の焔~危険な戦国軍師~
第17戦 離れたくない、離したくない
その後、私達は美濃へ本格的に進撃するために一旦、佐和山城に戻った。


「殿、お帰りなさい。美濃へ行く部隊への指示は終わりましたよ」


左近様が言う。


「かたじけない」


三成様は短く言った。


「それからたった今、真田昌幸殿からの使者が」


真田昌幸様とは、真田幸村様の父上のことだ。


「そうか。では、参ろう」


2人は私を置いて行ってしまった。


なんかむなしいな。


「友衣、お帰り~」


いきなりかけられたその声に振り向くとひなたさんがいた。


「ただいま」


「何、あなた無傷!?」


「うん。いくらこっちが有利な戦いとはいえ奇跡だよね」


自分でも信じられない。


「あのねぇ」


なぜかニヤニヤしながら寄ってくるひなたさん。


「な、何?」


「左近様、友衣がいないと寂しいってぼやいてたよ」


「そんなバカな」


「本当だよ。本人に聞いてみな」


「え、私がいなくて寂しかったですか?って聞くわけ?やだ、それ」


そんなたわいのない会話をしつつ、その日は終わった。


初めての戦でかなり疲労した私は布団に入るなり、深い眠りに落ちるのであった。
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