情炎の焔~危険な戦国軍師~
「申し上げます。宇喜多隊が伊勢から戻ってきた模様」


「申し上げます。大谷隊が関ヶ原の山中村に着陣したとの知らせ」


朝餉の後、そんな声が飛び交っている。


各部隊が所定の場所に次々と着陣しているようだ。


「うむ。首尾よく進んでいるようだな」


三成様は冷静な表情で頷いている。


その顔には今朝の優しさや儚さは微塵も感じられない。


あれは一体何だったんだろう。


「おや、友衣さん」


物見から戻った左近様がやって来た。


「あ、左近様」


「どうしたんです?難しい顔をして」


「いいえ、何でもないです」


なんとなく言えなかった。


自分の中である疑惑が生まれたからだ。


もしかして三成様は、私の数々の言動から西軍が敗北する運命を悟ってしまった…!?
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