情炎の焔~危険な戦国軍師~
第4戦 清正と正則の訪問
ある日、掃除をしていると三成様に呼ばれた。


「この後客が来るから、来たらオレの部屋まで案内するように」


「はい」


そのお客さんは一刻ほど経った頃やって来た。


「虎ノ助だが」


と精悍な顔立ちの加藤清正様が自分の幼名を名乗った。


「福島だ」


いかにも猛々しい福島正則様は名字を名乗る。


「三成はいるか」


「はい。ご案内致します」


少し緊張しながら私は2人の前に立ち、早すぎもしなければ遅すぎでもないペースで三成様の部屋まで歩く。


「こちらでございます」


障子の前で膝をつき、


「三成様、加藤清正様と福島正則様がいらっしゃいました」


と呼びかけた。


「入れ」


端的な返事を聞いてからそっと障子を引いた。


2人が入ったのを見届けてから自分も入り、障子を閉めて部屋の隅に控える。


「わざわざご苦労であったな」


三成様がまず2人を労うと、すでにいた侍女が彼らに熱いお茶を出した。


史実ではこの2人とは仲が悪かったらしいのだが、こうやって見るとむしろ友達のような関係だ。


「単刀直入に言う」


清正様が真剣な表情で切り出した。


「お前、本当に徳川につく気はないのか?」
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