理系彼氏!
(達也side...)

俺は・・どうしてこうなったのかわからなかった。
たしか・・明日香はカレーを一生懸命食べてて、泣いていた。
諭したところで落ち着いた明日香は立ち上がって・・
それで倒れたんだ・・。

・・でもなぜ俺を『お兄ちゃん』と呼ぶ・・?
明日香の過去に何があったんだ・・?

「いいですかね。ちょっと」
「あ、はい・・明日香はどうして・・」
「順番にお話していきますね。どうぞ」

促されて、別室で先生に椅子に座るように促された。
焦ったって仕方ない、というところか。

「藤谷さんは、頭を強く打ってるようで一時的に記憶が戻ってきてしまっている状態です。」
「・・それってつまり・・」
「一種の記憶喪失と見て間違いはないかと」
「・・そんな・・・」
「そのうちに思い出すようになりますよ」
「本当に一時的なんですか?」
「そのはずですよ。脳に損傷、というほど大きなものも見つかってないですから。」
「じゃあ、なぜ・・」

先生が言うには、多大なショックまたはかなりのストレスによるもので一時的に脳みそをシャットダウンさせた・・ということらしい。
つまり、現実逃避だ。


「藤谷さんは、ここでお仕事をされてましたね。ストレスはここにあるんじゃないですかね」
「・・仕事が・・?」
「その線は強いかと思いますね」
「じゃあ・・どうさせたら・・」
「彼女を大切に思うなら支えてあげなさい。」

・・つまり、彼女を養うだけの覚悟を決めろ。
・・ということだろう。


「・・わかりました。今後、俺はどうしたら?」
「とりあえず、お兄さんと間違えている以上あなたをここに置いておくのもこの先不都合があるでしょう。」
「・・そうですね」
「ですから、ここは暫く面会にはこないほうがいいかと」
「・・では、記憶が戻り次第面会に来るので俺に連絡くれませんか」
「わかりました。携帯の電話番号などありますか?」
「はい」

・・可哀想な明日香・・。
俺は、明日香の記憶が戻らなくても支えていくつもりだった。
お兄ちゃんとしてでも構わないとさえ・・思っていた。
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