笑う門にはオレ様がきた!!
行き先なんて考えていなかった。


ただ、
あの場所にあれ以上いるのが辛くて
逃げてきた。


涙がぽろぽろと溢れてくる。


だけど師匠にその涙を見せるのも嫌で


兎に角、出てきた。


あてもなく歩いていると結局、


私はあの水族館の
巨大な水槽の前に来ていた。


ついこの前のクリスマスに
二人でこの場所にいたというのに…


あんなにも
優しいキスをくれたのに…


巨大な水槽が段々と滲んで見えだす。


師匠、追いかけてもくれなかった…


ほんの少しだけ期待していた。


後ろから直ぐに抱きしめて
もらえるんじゃないかって


心のどこかで
甘えた考えが一瞬よぎった。









不意に、肩を捕まれる。














振り返るとそこにいたのは
師匠ではなく須磨圭だった。










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