笑う門にはオレ様がきた!!
みんなが帰った会場に一人残る私。


物音一つしない静かな会場に
微かに足音が響く。


私は目を閉じ
その足音に集中する。


少し歩いては立ち止まり…
また歩いては立ち止まり…


きっと一つ一つの作品を
ゆっくり見てくれているのだろう。


更に耳を棲ます。


ゆっくりとゆっくりと
その足音は近づいてくる。


そして
私の後ろでピタッと立ち止まると


フワッと私の体が大きな手により
包み込まれた。


久しぶりに嗅いだあの香りが
かつてインプットした私の鼻を刺激する。


鮮明に思い出す。


男の人にしては甘めのあの香り…


そして私に回された手の温もりを…






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