車座(掲示板・雑談)
(トマトマトさん)

ラストの再会については、物語の核が幻想的なもんなので、やはり逆にリアルにするのが良かったか。もしくは、おもいっきりファンタジーな再会にするのが良かったかなあ、とも。
本人じゃなくてもよかったのかも。よく似たひとでも可。または、「もしかして奇跡の再会? いや違うか…」ぐらいの曖昧さを読者に伝えたほうが幻想的だったのやもしれません。“奇跡の再会”を文章で説明してしまう辺りが少々残念だったのかなあ、と。
別人だとして、「ああ、他にも風の精霊が見えるひとは沢山いたのかも…」ぐらいの感じでもよかったんですかね。はい。
そしたら、「彼はもしかしたら風の精霊そのものだったのかも?」という解釈も生まれて…
切りがない(笑)

タイトル。
精霊には距離なんて関係ない、ぐらいの意味合いがあれば個人的にはしっくりきたのかもしれません。


(上杉さん)

『一握りの距離』を読ませて頂きました。

幼き清き日々の、ある理想の風景(味わい深い思い出、子供の頃の清さが滲み出てくる様なもの)、それが象徴的である田舎を交えたことにより綺麗に写し出されていたと思う。元々誰しもがこのような世界を美しいと、心奥深くで思っているのだろうと思う。それはまた、忘れてしまった思いなのかもしれない。小説はそれの綺麗な具現化で、個人的に、リアリティには素晴らしいものがあったと思いました。風の精霊を通しての、風の描写などは、まさに体感的だった。

「旅愁」とは旅行中に感ずるものさびしさの事を言うけれど、作品には二つあったと思う。祖父母の家での旅愁は言うまでもないけれど、和也と出会い、その出会いから主人公は、ほとんど旅に出ていたのだと思う。何とも言えないどこか寂しげな回想は、とても印象的だった。

何といってもエピソードが美しく、その純粋なる世界の前で、私は口を噤み温かく見守っていたいのみだでした。その基盤の上にある言葉の数々、表現は、もはや全てが綺麗に見えた。

内容、読後の後、色々思い巡らす要素があったりと、とても楽しめました。花井さん、この様な作品のご推薦をありがとうございました。
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