君一色
"善"い人なんかじゃない

蒼side*



―――――――――――――――

バイトを終え、エプロンを脱ぎながら今日の夕飯について考えていると
近くにいたパートさんが声をかけてくる。


「外、雨降ってきたみたいよ。傘持ってきた?」

「え……あー……」


さっきまでは晴れていたのに……
傘なんて持ってきてない。

余った傘を借りようと傘立てを見ると、自分の黒い傘が立て掛けてあるのに気がついた。

「あ、大丈夫です。前に置き忘れたままだったみたいなので。」

「そう、良かった」

安心したようにそう言うと、パートさんは“お疲れ様”と言って帰っていった。

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