セイクリッド

日常のほつれ

「マリア!海原マリア!」

「――…シッ」


図書室の入り口で叫ばれたのは、正真正銘私の名前。

私は周りの目を気にして、唇の前で人差し指をたてた。



「あ、悪い!」

「……はぁ」


いやいや、その謝罪もうるさいんだけど?っと、目線だけで訴えたけど、まったく伝わらなかったらしく、


「マリア!ちょっと来てくれない?まじで!早く早く」


悪びれる様子もなく、大きな声を出してくるのは、九科大介。


一番の友達であり、唯一の理解者でもある‘くしなだいすけ’だ。



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