二重人格な後輩
「ふはっ」
桃らしいな。
それに、どんだけ天然なんだよ。
笑う俺に、桃は余計首を傾げる。
「で、なんでこんなとこにいるんだ?」
笑いが収まったころに、本題であることを聞く。
「なんでってホテルに行くために決まってるじゃん」
他になにがあるの?って尋ねる桃に、また笑いがこみあげてくる。
俺が笑いで震えてる指で、さっき来た道をさす。
「ホテルはあっち」
「えっ?」
本気で驚いたあと、照れたように顔を赤くする。
その顔を隠すように、手で覆う。
「あたし……方向音痴、なのかな?」