二重人格な後輩

目の前の愛梨ちゃんは、ほんとに元気そう。


良かった。



愛梨ちゃんがなにもなくて……。




「で、用件はなんですか？もう涼ちゃんに近づかないって、誓いをするためですか？」



「そんなことはしないよ」



「図太いですね。私が嫌がらせしてるって分かってたんですよね？そのせいで先輩は、悩んで倒れたんじゃないんですか？先輩はバカみたいに優しいですから」




愛梨ちゃんが鼻で笑う。

そんな愛梨ちゃんをあたしは目を逸らさずに見つめる。



「でも、愛梨ちゃんがなにもなかったからいいよ」



「は？私のせいで辛い思いしたのにですか？　もう、涼ちゃんに近づかないって言えば楽になれるのに」



今までのあたしだったら、ここで素直に頷いてたかもしれない。

あたし以上に愛梨ちゃんが辛そうな顔をしてるから。




でも、それじゃダメなんだ。


あたしはちゃんと、自分の気持ちを言わなくちゃいけない。