二重人格な後輩
そんなあたしに目だけ向ける。
「なに?桃、こいつのことが好きなの?」
「なんでそうなるの?いいから謝って」
健人は、男子に近づく。
謝るのかと思ったら。
「俺の桃を誑かさないで」
「うあっ……」
健人はそう言って、男子のお腹を殴った。倒れ込む男子のお腹を今度は何回も蹴る。
無表情で何回も。
男子はうめき声を上げるけど、やめる気配はない。
「健人!お願いだからやめてっ!!」
あたしが、抱きついて止めようとしても、そのまま蹴り続ける。
少しして、抵抗もできなくなったのかぐったりとしてしまった。
その光景が怖くて、止められなかった自分が憎くて。
その日から、あたしにとっての健人は恐怖でしかなくなった。