二重人格な後輩
「先輩、行きましょう」
涼太くんがあたしを引っ張って、今度こそこの場から去ろうとする。
「おっと、ただで逃がすとでも思うか?」
「キャッ!!」
男の人に腕を思いっきり掴まれて、涼太くんの手が離れる。
「やってくれるんなら、この女は返してやる。どうする?」
あたしは男の人の腕の中にいて、恐怖で体が震えてしまう。
なんでこんなことになってるかが分からない。
だけど、身の危険を感じてるのは確かで……。
「……場所、変えようか」
いつもと違う涼太くんの低い声にも、驚けないくらいあたしは恐怖を覚えていた。
涼太くんのセリフに男の人は気持ち悪く、ニヤッと笑った。