ヴァージニティー
夕子の願いが神に届いたのかどうかはわからないが、2人は2ヶ月で破局した。

(――嬉しい!)

破局の話を知った夕子の中で出てきた感情はそれだった。

かわいそうと言う感情ではなく、嬉しいと言う感情だった。

そして、知らされた。

自分が“男”として、朝人を見ていたことに。

“弟”ではなく、“男”として意識していたことに。

(――違う!

あたしは、あっちゃんを男だって思ってない!)

自分の中で知らない間に生まれていた感情を何度も否定した。

自分に告白してきた男はいたけど、全て断った。
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