ヴァージニティー
彼の要求を断ったら、全てがバレてしまう。

躰と同じように時間をかけて築きあげてきた、朝人との秘密。

朝人との恋人の時間。

それが全て、周りにバレてしまう。

両親や世間に、自分たちの関係がバレてしまう。

「――あっちゃん…」

最愛の人の名前を、夕子は呟いた。

朝人には、迷惑をかけたくない。

自分のせいでつらい思いをさせたくない。

今だって周りに隠しているから、とてもつらい。

だからなおさら、朝人につらい思いをさせたくない。

夕子は唇を噛んだ。

自分が朝人を、そして関係を守らなければ。
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