ヴァージニティー
祖母の姿が見えなくなると、
「…あっちゃん」

夕子は朝人の名前を呼ぶと、彼の肩をたたいた。

「ああ、詳しく話さなきゃいけなかったね」

朝人がそう言った後、夕子を見つめた。

「夕子はお母さんの連れ子で、俺はお父さんの連れ子。

俺のお父さんと夕子のお母さんは再婚同士だったんだ」

そう言って話を始めた朝人に、
「あっちゃんはそれを知ってたの?」

夕子は言った。

「高校1年の夏休みだったかな。

自分史を作るって言う、社会科の宿題があったんだ。

その時資料として母子手帳を使っていたんだ。

それを開いて見たら、ビックリしたんだ。

俺と夕子の血液型が違ってたから」
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