想い綴り







まだ、ひんやりとする朝焼けの空。





ほんの少しだけ気だるい体。

胸元に残る甘いキスの跡。







脱ぎ捨てたTシャツを着込んで、

照れくさそうにあたしを見下ろす若杉の顔。






始発で帰ろうとする背中を見送るあたしを抱きしめて







「…帰りたくねぇな~」






なんて、ブチブチ呟いてるのが可愛くて。

ちょっと背伸びして頬にキスした。









ねぇ?

浮気してるのに
こんなに甘くていいの?


まるで恋人みたいな時間。


このまま…時間が止まればいいのにね








「…んじゃ、後で…な?」



「ん…」









ねぇ?
若杉


どうしよう。

あたし…今すごく幸せな気分。






“ずっと…”




…なんてワガママ言わないから…

せめて今だけ…



今だけでもそばにいさせて…










でも。











そんな光景を誰かが見てたなんて…


終わりが…
すぐそばまできてるなんて

このとき
あたしは。

まだ…





知らなかったんだ。





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