想い綴り







稲本君のそばは
すごくあたっかい。








「なぁ、たまにはどっか遊びに行こっか」


「うん」









まっすぐに見つめてくれる優しい瞳

あたしの手を確かめるように繋ぐ骨ばった大きな手。









「たかさ……カンナ…?」


「…ふふっ…顔…赤い」



「こっちみんなよ~っ!!なんかめっちゃ恥ずかしいっ」








名前を呼ぶのでさえ照れて赤くなるかわいいとこも。



みんな
優しくて…

あたたかい時間

なのに…












時々
無性に泣きたくなった











稲本君…ずっとそばにいてくれるのに…


大切に…
ずっと好きだって教えてくれるのに…












…会いたい…











1人になると…
浮かんでくるのは
あの笑顔…


いじわるなあの声…

あたしを見下ろす優しい目…











もう…
忘れるって決めたのに


この人だけを見ていくって

だから






もう…
思い出しちゃいけない


あの頃のことも今の…あの笑顔も…


忘れてしまいたい…

思い出せなくなればいい


だから…










「カンナ…?どうし…」



「稲本君…部屋…行きたい……ダメ…?」











もう
…思い出せなくなるくらい…










稲本君でいっぱいにして欲しかった…




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