××倶楽部
「今の続きするか?」
「典……」
首を左右に振る。
「寸止めでお預けって、けっこう辛いんだけど……」
「ごめん、典。私がちゃんと拒んでなかったからだよね……ごめん」
でも、やっぱりこういうのダメ。
「芽依……」
「ほら、社長はサイクリングデートするつもりだったみたいだし。ベッドの上で二人きりなんてシチュエーションにならないかもしれないじゃん! だから、練習なんてしなくて大丈夫だよ。典みたいに初デートでいきなりホテルとか、社長はそんな人じゃないんだってば!」
「ふーん。でもさ、もし社長と今みたいなことになったら、おまえ受け入れるんだろ?」
腕が離されて、私はほっとため息をついた。ちょっと苦しかったよ。典のバカ力であばらが折れるかと思った。
「芽依は、ほっといてもいつか俺のもんになるんだと思ってたよ……」
「え? なに? なんか言った?」
「なんでもねーよ! はやく服着ろ! おばさんたち帰ってくるぞ! ボケボケしてんな!」
「やっ! バカ典が脱がせたんでしょ? あー、私の服踏んでるってば!」
典は、踵でグイッと私のレギンスを踏みつけて白い歯をみせてにっと笑う。その笑顔に少しだけほっとした。