××倶楽部

 一週間。私の精神力は持つんだろうか……? かといって、新しい就職先を探すとなると私は就職浪人生だ。


「はあ……」 
 

 今日何度目かわからないため息を吐き出した。



─────キッチンでは、お母さんが味噌汁をあたためてくれていた。


「お母さん大丈夫だよ、自分でやるから」

「あら、いいのよ。立派な働き手になってくれたんだもん。これくらい、お母さんがやるわ。それにお兄ちゃんも、そろそろ帰ってくるし」


 お父さんが病気で亡くなってから、お母さんは私とお兄ちゃんを女手一つで育ててくれた。
私はまだ小さくてお父さんの記憶はほとんどないけど、優しく頭を撫でてくれたのを覚えている。


 お父さんが残してくれた家や保険があるからと言ってお母さんは、私たちに大変さなんて全然みせなかった。大学までいかせてもらって、これから沢山お母さんに恩返ししないといけないのに……

 本当は、きっとすごく大変だったと思う。だから、お兄ちゃんも私も、お母さんだけは悲しませたくないんだ。


「はあ……」

「元気ないわねー、社会人って大変でしょう? でも、すぐに慣れるわよ」 


「うん、そうだね」







 
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