××倶楽部

19


────「芽依、待てよっ! そんな怒ることじゃねーだろ!」


「怒るよ! バカ! 社長は優しいから、あんなふうにフってくれたけど普通だったら嘘吐き呼ばわりされて、はいサヨウナラだよ!!」


 典を置いてずんずんと前に進む。帰りは社長がハイヤーを呼んでくれるって言ってくれたり、播磨組の人たちが送ってくれるって言ってくれたんだけど、怒りのおさまらない私は勝手に屋敷を飛び出した。


 方向もわからずに何とか広い通りに出れた。ここを歩いていれば、そのうちどこかの駅の看板でも見つかるだろう。



「ついてこないでよ! バカ典っ! もう絶対に典とはそういうことしたくないっ!」


「なっ!? 俺のこと殺す気かよ?」


 もう、典のせいで人生最大の赤っ恥体験しちゃったんだから!

 私、女として最悪じゃん!

 雰囲気で流されちゃうから、典には指一本触らないようにしよう。

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