××倶楽部

20


────「でさ、芽依聞いてんのかよっ!」

 ミーナ様が、ばん、と机を叩くから、文房具がちょっと宙に浮いて着地した。


「ひゃ、聞いてますよミーナ様。私、仕事中なんですからね」


 ミーナ様は紫のボンデージ姿で長い足を組むと、鞭をくるくる回しながら物憂げにため息を吐き出す。


「だからさ、うちのユーナがテスト勉強とかしてんだよ。心配だろ? 中学生なのに、テスト勉強だよ? 現代文とか古典とか、日本語ですらわけわかんねーのに、英語なんか三種類もあるんだってさ。なんの意味があるんだよ」


「え……あはは、私もテスト勉強はしましたよ……」


「まじで? なんのためにテスト勉強なんかするんだよ! あたしにはわけがわかんなくて」


 真剣に悩んでることがあるって言うから聞いてみたらこれだ。ミーナ様は美しく細い眉を切なくしかめられたまま、はあ、とため息をついた。

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