く ち び る


「大丈夫、痛みはねーよ」


 めんどくさくなって、考えることをやめた。

 恵生の表情は優しい。きっと酷くはされない。

 夢なら覚めて終わり、現実ならば天国で父と母にこの非科学的な体験を自慢しよう。


 恵生の手が、そっとわたしの目を覆う。


「おやすみ、生恵」


 最後に見えたのは、優しく名前を象る―――綺麗な唇。





『ようこそ、黄泉へ』



 fin.



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