最初から、僕の手中に君はいる

「あれ、藤沢さん、酔ってる?」

 話しかけてくれているのが、秋元だということは分かる。

「そんな飲んだかなあ? いつもくらいだと思ったんですけど」

 次は永井だ。

「あー……ちょっとあれじゃない? 今日はちょっと飲みすぎたのかも」

 池内は少し笑いながら言った。

「え、そうですか?」

 永井は池内に聞く。

「うん、ちょっと体調も悪いみたいだったしね」

「体調というか、気分?」

 秋元が池内に確認している。

「えっと、藤沢さんちって北方面だったっけ」

「僕が送ってくよ。今日実家帰るから」

 畑山がはっきりと公言する。

「いや、僕家北方面なんで僕が送ります」

 あそうだ、飲み会の後はたいてい永井と一緒に帰っている。

「永井君ち、どこ?」

 畑山が聞いた。

「僕、北中です、藤沢さんちはその奥ですけどそこまで送っても構わないですよ、僕は」

 永井らしいなと思いながらも、

「いいよ、僕北奥だから。永井君が降りた後は僕で大丈夫」

 ハッと目が覚めた。絶対、口止めされる!!

「あ、起きた?」

 秋元のことがしっかり分かる。良かった、大丈夫そうだ。

「永井君と畑山部長が一緒に乗ってってくれるって。良かったね」

 しかし、既にそういう話が確定しているらしい。

「タクシー代3分割でラッキー、ラッキー」

 秋元の隣の菅原は笑いながらそう言うが、

「タクシー代くらい僕が出すよ」

と、畑山はさらりと言ってのける。

「じゃあみんなで乗り込んで、一周回ろうか」

 という誰ともなしの声の声が聞こえたところまでは覚えている。



< 5 / 25 >

この作品をシェア

pagetop