ゆきんこ
おいおい……



この男……、こっちの話聞いてんのか?



反省の色も見られーん!




「そうだけど。それが何か?」



ちょっぴりトゲある言葉を返すが………




『……………』




……おいっ、
無視ですか!



「…………?」


余りにも、無言が続くから……



「…もしもーし!…あれ?電波悪い…?」



携帯をしっかと耳に付けてみる。





『マジやめろって』


『いーじゃん、誰ぇ…?』


『…ともだちだっての』


『…まさか…、ゆきんこ?』


『…そーだよ、お前今しゃべってんだからだまっとけ』






「……………?」





小さく聞こえるのは……



一つは、新野の声。


……もう一つは……?



てか、『ゆきんこ』って誰…?




………私?!





『…もしもーし、ごめん、福嶋。』



「ハイハイ。こちらゆきんこですが。」




『……もしや…聞こえてた?』



「そりゃあ電話口でしゃべられたらね。」



『……あちゃー……。ちなみに今のは弟。』



「そうなんだ。」



『…で、今日のドタキャンの埋め合わせっていうか…さっきその話、し忘れたからさ。そしたらコイツが口挟むから……』



『…コイツっていうな。』




「……兄弟喧嘩?大人げないなあ、新野。」



『…ちがうよ。……あっ、テメ……』



『………もしもーし!ゆきんこか~?』



「…………。」



弟くんの、お出ましか?




「…はいはい、そーですよー。」



声が……


可愛い。



『おまえ、雪の子供なの?』



「……はい?」



『そうなのか?』



「…………。」



新野……、もしかして……



こんな小さい子に何を教えちゃってんのよ。




「……さあ、どーでしょ~?」



『確かめてやる。今から……家に来いッ』



「ええっ?!」








『……て、ことで……。暇なら来てくんない?』



「……はあ?!」



『今日辺りコイツ遊ぶ相手いなくてさ、俺も雪下ろしあるし。さっきの電話も聞かれててさ、アンタもスノーボード行く予定だったの知ったら…なら俺が相手してやるだのなんやら。』



「……この電話は……埋め合わせの電話では?」



『ん。そう。』


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