桜の生け贄
「…ッ!!」

体が通り抜けた…

まあ当然…

分かってたけど…

でも…

どうしても、涙が…

止まらなくて…

「私にはゆずの涙を拭くことは出来ない…」

…お姉ちゃんの声…久しぶり…

もう忘れてる…あなたの声…

「でも…この桜の為に…桜なんかの為にあなたの命は死なせない…」

お姉ちゃんが!?

お姉ちゃんが桜を…!?

「どうしてぇ!?私は…お姉ちゃんのところに行きたかったのに…」

お姉ちゃんは目を細めながら下を向いた…

そして…

「生きないといけない…あなたは生きて…

あなたは私…これからはあなたの目を通して世の中を見る…

ゆず…人生は長いの…

これから好きな人も…親友も…何だって出来るから…

あなたは生きて…」

お姉ちゃんが消えていった…

私はただ…天を見上げ…涙を流していった…

< 52 / 59 >

この作品をシェア

pagetop