甘い唐辛子


俺は目を擦る霞澄の手を取って、キスをした。



寝ぼけていた霞澄は、スイッチを入れたかのように覚醒し、俺の服を掴んだ。




「い…と。待っ…」

「無理。」



俺はその先に進まないようにキスを繰り返した。

何回も、何回も。



「ん…んん~っ。」


さすがに霞澄が苦しそうになってきた頃、俺は仕方無しに口を離した。




肩を上下にさせて呼吸をする霞澄の顔が、いつもより数倍赤くなっていて、俺はそれにまた可愛いと思ってしまった。



「珍しい…どうしたんだ…?」


あまりベタベタしない俺達にとって、キスは珍しいことになっていた。


これは彼氏として、どうなんだろう……




それは置いといて、俺は霞澄の長い髪に指を通し「別に、なんとなく」と答えておいた。




< 190 / 212 >

この作品をシェア

pagetop