君という海に溺れる




そうやって、彼はいとも簡単に大きな壁を壊すのだ。


どうしてアダムはこんなにも、私の欲しい言葉をくれるのだろうか。

いつまでも変わらずに。


ありがとうと伝えられたあの日から、彼の言葉は歌へと形を変えて常に私の傍にあった。

ずっとずっと、支えられていた。


それは私の存在する理由。

私が生きていく理由。


この命が、彼の名前を呼び続けていた。

求めていた海は、ずっと変わらずそこにあったのだ。


降り続けていた雨は止み、遠い空に架かるあの日と同じ虹の橋。

水面に光る七色。


すっとアダムの指が私の髪に触れて。

シロツメクサの冠が乗せられる。


あの日のそれよりもずっと綺麗に作られた白は、約束の証。




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