溺れる唇



別にいつもの部屋。


いつもの芳賀くんだというのに。



目を上げると、芳賀くんは部品庫へ続く
階段の下にある作業台で、黙々と
作業をしていた。

俯いた顔に前髪がかかり、彼の顔を
少し幼く見せている。

私は手を止めて、その整った、
かわいらしい顔を眺める。



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