溺れる唇

「じゃあな」

ポン、と私の頭に手を乗せて、
笠井さんが言う。

「今日はゆっくり休め」

何か、金属製のものでも詰まって
いるんじゃないか、と。

そんな風に思ってしまうほど
重かった頭は、
熱くて美味しい海鮮粥のおかげで、
いつの間にか消えていた。


大人な上司の的確な判断のおかげで。


私の体調が前向きに、
快方へと進んでいるのがわかる。


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