溺れる唇

AM 11:41

芳賀くんに心配されながら、アイツの
ノートPCを修理した私はデータの
吸い上げと移行を芳賀くんに任せ、
昨日のエラーデータをまとめていた。

徹夜作業を終えた笠井は始発で帰り、
午前中いっぱいは寝ているだろう。

多分、午後まで動き出せはしないはず。


そうは思うが、突発的な仕事の入らない
内に大きいのを処理しておきたかった。

「沢田、電話~」
「はい」
「外線3番に課長」

芳賀くんの向こう側にいる村田さんに
言われ、私は笠井の役職を思い出す。


そういえば、課長だったわね。


< 59 / 344 >

この作品をシェア

pagetop