溺れる唇

私は冷静さを保ったまま、パソコンの
画面に目を戻す。

作成中のメールは、完成間近。

“よろしくお願いします”を
付け加えるだけだ。


鳴り響く呼び出し音を無視して
最後の一文を加えた私は、
もう一度、送り先と内容を確認し、
【送信】をクリックした。


ほとんど同じタイミングで、
電話がパタリと鳴り止む。


「諦めたか」


メールを送った後でもまだ鳴り続けて
いるようなら、さすがに出てもいいかな
と思っていたんだけど。


人の悪いことを考えながら、
私は開いていた画面をログアウトし、
【終了】をクリックした。



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