-月姫-


「ったく。おどれのテストの点を見てから寝ぼけろコラ」

 先生の手には前回抜き打ちでされた、古文のテストの答案用紙。
 100点満点中28点という、なんとも寂しい点数に、神楽は自分の目にモザイクをかけた。

「器用なマネすな!」

 スパコンっと教科書を丸めた状態で叩かれ、神楽は景気よく机とキスするハメになった。

「あたっ! かわいい従姉妹にこの仕打ちヒドくない?! つか古文なんか役にたたないじゃんか!」

「俺が教えてるんだから、役に立つんだよ」

 腕を組み、踏ん反り返りながら言うと、全員が同じことを思ったのは間違いないだろう。

 何であんたそんなに偉そうなの?

 っと。

 チャイムが鳴り響き、海は教卓に戻りながら次の授業の内容を告げた。

「明日の授業は、宣言付き抜き打ちテストするぞ~。わがままなかぐや姫が、かわいそ~なヘタレ皇子達に、何のプレゼント頼んだのか、漢字で書けるようにしとけよ~」

 ブーイングが起こるが、それを声援に応えるかのように手を振って出て行ってしまった。

 神楽は力無く机に突っ伏した。

「おにょれ海兄~。絶対あれはあたしへのイジメだ~っ」

「まあイジメにして何にせよ、あたしが可哀相に思うのはこのテスト君だわよ…」

 
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