幸せ家族計画


 達雄と綾乃ちゃんをリビングに残し、俺はサユの部屋へと入った。
静かに戸を開け後ろ手に閉めると、驚いたように紗彩が振り返る。


「英治くん。どうしたの?」

「俺が入るより二人で話させた方がいいかと思って」

「そう。……そうね」


ふんわり、紗彩の顔が緩む。
驚きから安堵へと変わる表情の変化を見るのは何故だか嬉しい。


「サユは?」

「うん。もう寝た……かな」

「どれ」


覗きこむと、小さな寝息が聞こえる。
今はまだ寝入り始めで、きちんとベッドの上におさまっている。


「サユ、夜中落ちたりしてないのかな」

「たまに覗きに来ると落ちてる時もあるわよ。
でもね、布団ごと落ちてるみたいだから大丈夫みたいよ?

真冬は心配だけど、今時期なら風邪ひくことも無いと思うわ」


「案外寝相悪いんだよな」


頭を軽く撫でてやると、一瞬寝息が止まる。
けれども再びスースーと規則的な呼吸を始めた。
眠りはだいぶ深そうだ。

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