幸せ家族計画


 サユには好きな男の子がいる。

本人が自覚しているのかどうかは知らないが、1年も会っていない男の子の事を、いまだに話し続けるなんて。
しかも、あんな小さな子がだ。
あり得ないだろ、って思う。

義理の娘とは言え、サユの事はすごく可愛い。

どこか必死に寂しさを堪えているのが、昔の自分と似ているって言うのもあるけど。

変に意地っ張りなところなんかは紗彩に似ていて、小さい頃はこんな風だったのかな、なんて思わせてくれる。


だから心配だ。

小学生の恋愛がうまくいくはずがない。
仮に上手くいったって、永遠に続くもんじゃない。

できればサユを傷つけたくない、なんて思うのは、親の身勝手なんだろうか。


「ねぇ。これ、似合う?」


先日買ってやったシュシュをつけて、あからさまにおめかししたふうなサユが、俺の目の前でくるりと回る。


「似合う。可愛いぞ」

「えへへぇ」


花咲くような笑顔。
このおめかしが、サトルって奴に会うからっていうのがいまいち面白くない。

< 193 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop