幸せ家族計画

英治くんはカーナビの画面を子供向けのDVDに切り替える。

すると子供たちの視線はそっちに釘付けになり、彼は私には前を向けというように前面を指差した。

……気を使ってくれてるのね。

確かに、後ろを向いていると気持ち悪くなりそうだ。
少し座席を倒して、ゆったりと座る。



 やがて車は水族館の駐車場に停まる。
紗優が好きなので、我が家では年に3度は必ず来る。

サトルくんは久しぶりのようで、まだ入館する前から「うわあ」と歓声をあげた。


「ママ、ママ」


私の腕を引っ張ってトイレに連れて行こうとするのは紗優。


「なに? 紗優トイレ?」

「違うの。ダメだよう。こんな服じゃ」

「なんで? 可愛いわよ、今日のワンピース」

「だって。前会った時、サトルくん、可愛いカッコじゃ汚れちゃうって言ったもん。
どうしよう。サトルくんもくるって知ってたんなら、ズボン履いてきたのに」

「大丈夫よ。今日は運動する訳じゃないでしょ?」

「でも、でも。……嫌だよう。サトルくんに嫌われたくないよう」


顔を真っ赤にして泣きそう。

そういうことなの?
だから元気がなかったの?


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