幸せ家族計画

 サユと共に、再び病室に戻って来た時もまだ紗彩は眠っていた。

本人は最近肌の衰えが気になるとか言ってるけど、それほどでもないけどな。

確かに昔に比べりゃ多少皺なりなんなりあるんだろうけど、2人も子供産んでるんだから、勲章みたいなもんだろう。

むしろ、そうやって経た年月が与えた自信のようなものが紗彩からはにじみ出ていて、それがとても綺麗に見える。


「なんか、眠り姫みたいだな」

「そうだねー。お父さんキスしてみたら? そしたら起きるんじゃなかったっけ」

「あはは。ホントにやられても困るだろ」

「えへ。うん。見てるの恥ずかしい」


俺は見られても平気だけど、子供の教育上よくないもんな。
眠り姫みたいな寝顔には、そそられるんだけど。


「……起きたらなんて言おうか」

「おはよう、じゃないの?」

「それもあるけど」


今の気持ちを伝えるのに、どう言ったらいいんだろう。

ありがとうとか、お疲れ様とか、愛してるとか、

気持ちは、本当に色々あるんだけど、一番上手に表す言葉が思い付かない。

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