幸せ家族計画


「こうなったら最終手段」


禁じ手とも言える場所に隠そう。

リビングの隣の和室に滑り込む。
ここなら、お父さんは勝手に手出しできない。

パパの仏壇。
開けると、相変わらずの笑顔で笑ってる。


「パパ、これを守っていてください!」


かしこまってそう言ってみたりして。



 サイちゃんが小学校に上がる時、私はこの部屋をサイちゃんの部屋にするんだと思ってた。
だけど、お父さんは物置代わりに使っていた小さな部屋を改造してサイちゃんの部屋を作った。


「この部屋は客間だから」


なんて言っていたけど、本当はパパがここにいるからなんだろう。


今だにパパを大事に扱ってくれるお父さんは凄いと思う。
本当なら、ここに仏壇を置いておくことさえ、嫌だろうって思うのに。

昔は子供だったから、パパとお父さんの間に出来る負の感情を考えることもなく、皆を家族だと思って笑っていたけど。

今だったら、お父さんの気持ちが分かる気がする。
お母さんに、他の男の人を思い出されるなんて嫌だろう。

一度そう聞いてみたこともある。

だけど、

「ふっきれたのはサユのお陰だったんだけどな」

って笑われた。

小さかった私の、どの言葉がそうさせたって言うんだろう。
今の私では、もう分からない。
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