魔天戦史


「いえ、緋凰様のお頼みですから」


「……そうか……レオン、彼は、ハルベルト・リンクルーダー。先の太平洋海戦の時に、単独で戦闘機を二百機以上撃墜した男だ」



「!貴方が…あの『羽根落し』……お会い出来て光栄だ」


「ハルベルト、彼はレオン・イェーガー。大元帥直轄特務部隊『ジャッジメント』の特務隊長だ」


「!ジャッジメントの……そうですか。いや、若いとは聞いていたがこんなに若いとはな……お会い出来て光栄だ」



二人は互いに差し出した手で硬く握手した。

「……それで、目的地は高城技術研究所で宜しかったですか?」




「あぁ、頼む」


「分かりました。では、転送先の準備が整い次第、転送装置を起動しますので、先に中にお入り下さい」



二人はハルベルトに促されて円筒型の装置の中に入った。


それを確認して研究員が外からドアを閉めた。



装置の中は光が下から上に走り抜ける不思議な構造をしている。


暫くして、モニターがついてハルベルトの顔が映し出された。



「転送先の準備が整いました。転送を実行しますが、宜しいですか?」



「問題ありません」


「問題無い。転送してくれ」



「了解しました」



ハルベルトがそう言ったのを最後にモニターが消え、代わりにその上にあったランプが点灯した。


最初は緑色だったランプが黄色に変わったその時、二人の足元から上に光の波が上がって来た。



光の波が装置いっぱいに満たされると、今度はランプが赤く点灯した。




次の瞬間、二人は光の波とともに、装置の中から姿を消した。



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