魔天戦史




「ハアッ!!」



「オォッ!!」



仙石と憲蔵は激しく刀と拳を交えている。その勢いで周囲の天候が荒れて雨が降ってきた。


二人は互いに距離を開けて再び武器を構えた。



仙石は自分の羽織りの裾が焼け焦げているのに気付いた。



「……やっぱり、君は強いねぇ……」



「……お前もな…東郷流二刀師範代は伊達ではないな……お互い、同じ師から学んだというのに…刃を交えることになるとは……」



「……先生が聞いたら、なんて言われるかな……?」



「……きっと、馬鹿な弟子たちだと、笑われるのだろうな…」



憲蔵は一瞬顔に笑みを浮かべたが、またすぐに顔を引き締めた。



「……だがそれでも、退く訳にはいかない……!!」



「……それは、僕も同じだよ…!!」



二人は互いに駆け出して、また刀と拳を交えた。仙石は刀に闇の波動を、憲蔵は拳に稲妻を纏わせた。




「征零鳴闇剣!!」



「武討迅雷拳ッ!!」




二人が互いに放った闇と雷は、激突する度に激しい突風を巻き起こし、周囲の地形を削り取り、二人がまた距離を置いた時には、二人の周囲は荒れ果てていた。ビルは崩れ去り、地面は沈下や隆起をおこしている。


それを遠目で見ていた悠里は二人の力に感嘆していた。



「……流石、元帥ねぇ……かなわないわ…」


悠里が見つめる先で、二人は三度刀と拳を交えていた。そしてその度に周囲の地形は変わっていった。仙石の闇の波動はビルを砂の様に消し飛ばし、憲蔵の雷は地形をみるみる削り取っていった。



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