【完】俺だけを愛して溺れろ。
「人の話を聞く時は、相手の目を見ましょう」
『うるさ、』
気付いた時には、伏し目がちな表情の中島が視界に広がる。
ストップをかける時にはもう遅し。
次の瞬間には、唇を塞がれていた。
斜めから合わせられた唇。
『……』
驚愕も困惑も気恥ずかしさも何もない。
ただ時が止まったような感覚だった。
けど、その感覚は束の間。
「ちゅっ」と小さなリップノイズで、はっと我に返る。
あたしはすぐさま思いっきり中島の胸を押して退いた。