【完】俺だけを愛して溺れろ。
「……なぁ、」
『何?』
「あのさ、」
『何よ、中島』
まだ空を仰いでいる中島を困った表情で見る。
「凜さ、何か欲しい物ある?」
『……、』
あたしの目が点になる。
今、中島何て言った?
「ほら、俺の買い物に付き合ってもらったし……。そのお礼」
あたしの方に顔を向けてはにかむ中島。
あたしは眉の両端を下げ、首を横に振った。
『映画のチケット代を出してもらったから、お礼はそれで――…』
「あるよな?」
『……』