一緒に暮らそう
 6月の2番目の週末も新多が忙しくて会えなかった。これでもう彼とは一か月以上会ってないことになる。
 毎週のように彼に会いにいっていた時期が嘘みたいに思えてくる。

 平日は仕事で気分をまぎらわすことができる。中山さんにはいつもと様子が違うことを指摘されたけど、寮でのんびりしているより作業をしている方が、寂しさを感じずにすむ。寂しさを感じ始めると、それがどんどん膨らんでしまうので、意識的に気持ちを切り替えないといけない。

 メールも頻繁には送らなくなった。男の人は、恋人に頻繁にメールを送られることを疎んじるという。先月、彼は学会への投稿論文を落としてしまったということもあるし、できるだけ仕事に集中させてあげたい。それが彼への思いやりなのではないかと紗恵は思っている。

 本当は寂しいけど仕方のないことなのだと自分に言い聞かせている。
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