社長!好きです!
「あっ、さなえ、ごめん。

私、今日約束あったんだ!」


ソファーに投げ出してあったバックを取り上げ

玄関に向かう私。



「えっ!?

和、ちょっと・・・約束って?」



「本とごめん。

遅くなるから彼氏
呼んで一緒にご飯食べて。」



「あ・・和!」


「もしかしたら、ってゆ~か多分
今日、泊になるから
待ってなくていいからね。」



有りもしない約束のために

まるで彼氏にでも会いに行くがごとく?

慌てた様子で私は出掛けた。



たまには気を使うべきでしょ?



でも、完全に嘘っぽい感じだったかも。

かえってさなえに気を使わせてしまいそう?




女優には到底なれないな~とか


バカみたいなことも考え



「はあ~~~あ。」


溜息


さなえの彼氏を見てみたかったけど・・・

それこそお邪魔だし・・・

ああ・・それにしても・・・


エレベーターに乗り込むと同時に


グウ~~~~

っと

お腹が鳴った。


「食べそこねちゃたし・・・
今日どうしよっか・・・。」



さなえとさなえの彼氏に気を使って
部屋を出て来たって

一人行くところもない。






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