無口な彼のカタルシス
「上等だぁ、ごらぁ」


巻き舌を駆使して怒声を轟かせた金髪トサカ頭。そのニキビだらけの額を、長めの前髪で隠された『彼』のそれに激しく打ち付けた。


その衝撃で、フラリ、後方に一歩後退さるも、『彼』は踏ん張って耐える。すぐさまその足で地を蹴り、金髪トサカ頭に殴り掛かった。



金髪トサカ頭の横っ面に『彼』の拳が綺麗に入った。そのたった一発で弾き飛ばされ、数メートル先に薙ぎ倒される。



苦しげに呻き声を漏らす金髪トサカ頭に、『彼』は大股で歩み寄り、その腹部を激しく何度も何度も踏みつけた。



容赦なく攻撃する『彼』を、銀の短髪、鼻ピアスが背後から羽交い絞めにするも、『彼』は反射的に背負い投げ。


鼻ピアスは、金髪トサカ頭の上に仰向けの状態で叩き付けられた。

ヤンキーの二段重ねだ。


下敷きになった金髪トサカ頭は、ゲホッとその口から何かを吐き出した。


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