無口な彼のカタルシス
グレーの学ランたちが去り、河川敷には『彼』だけが残された。


もちろん、見るも無残にボロボロだ。



それを望んでいるのは、他でもない『彼』なのだから仕方がない。




でもこうやって割り切れるようになる前は、こんな光景を見るたび、わたしは泣いていた。



そんなわたしに『彼』はいつも、


「ごめん」


弱々しくポツンと謝った。





『彼』は――


たまにしゃべる。






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