あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
私の反論も質問も許されずに、入ってきた男子数人は、ぱあーっと保健室を飛び出していく

私は赤く濡れた手の中のモノに視線を落とした

……血っ!?

うそ…、これって人の血なの?

思わず手を離しそうになる私に、黒いシャツを着た男子の大きな手が覆いかぶさった

「もっと強く傷口を押さえて。それじゃ止血にならないから」

聞き覚えのある低い声が、真っ赤に染まったタオルの下から聞こえてくる

「あの…霧島君?」

「ああ? なに?」

擦れた声で霧島 侑が返事をしてくれた

顔をあげた霧島君が、タオルの間から目を覗かせてきた

「あんた……誰?」

霧島君が不思議そうな目で私を見てきた

「あ。園崎です。同じクラスの……」

「ああ、クラスメート。ソノザキさんネ」

霧島君がふーんと、鼻を鳴らす

覚えて…ないのかな?

同じクラスなのに

見たことある顔…だとか、思ってくれないのかな

ちょっとさびしいな

1年のときも、2年のときも同じクラスだったのに

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