うさぎとらいおん


「…要するに、茅沙は恋人をやめたいってこと?」



恋人をやめたいわけじゃない。でも、このまま恋人でいたいわけでもない。
ただ、恋人になるなら、凛也くんから好きだって思われたいんだ。
だから、うなずくことができなくて。


動かない私を肯定の意と捉えたらしい凛也くんは、そうか、と言って私の頭を撫でた。



「幼馴染に戻ろう、茅沙。」


それじゃあ、と私を置いて歩き出した凛也くん。






そうして私と凛也くんの間には幼馴染、という関係が保たれ、そして何かが消えたのだ。








.
< 105 / 143 >

この作品をシェア

pagetop