世界が逆転した日

答えなんて最初から決まってる

「これ、パスポート?どこか行くの?」


ある晴れた日の、午後3時。

明宏が珍しく自分の部屋に引きこもっていたので、何をしているのか覗いたら、スーツケースに服を詰めていた。

机の上には、パスポートらしきものが。


「ドイツに1週間ほど。急に決まったんですけど、学会の集まりがあるんです。
ちゃんと良い子で待っていてくださいね。」


なんだよ、その言い方は。
俺は大人だ!!


「お前な...、まあいいけど。
いいなー、俺も行きたい。」


「俺は日本が良かったんですけどね。
長時間の飛行機は苦手なので。」


学会はだいたい1年に一回集まりがあって、世界中の科学者が集まってくるそうだ。
科学者とはいっても、一部の。

そこで何をするかは聞いても分からないだろうから、聞かない。
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