愛するということ
母さんが死んでも、時間は留まってくれない。
拓馬は、大学の手続きが終わると、その日から仕事を始めた。


ずっと会社に行ったきり、家に帰ってこない。



そして、瞬は・・・


折れた肋骨が肺に刺さっていたものの、片側の肺が無事だったこともあって、大事には至らなかった。

腕の骨折も、なんとか元通りになるらしい。



今のところ、脳の異常も見つかっていない。
医者は、命があることだけでも奇跡に近いのに、この程度ですんだことは、事故の状況から信じられないと言った。

でも――
この2週間、瞬は1度も目を醒ましていない



意識の戻らない原因が見つからないまま、今日で2週間だ



「瞬ちゃん、今日はね、外が燃えてるかってくらい暑いんだよ。
そう言えば、桜川の花火大会が――」

医者から、なるべく話しかけた方がいいと言われてから、友里は病室にいる間はずっと話しかけている。


「友里、交代しよう」

「あー、隼人、もうそんな時間?なんか、あっという間に1日過ぎちゃうね。瞬ちゃん、早く起きないと、浦島太郎になっちゃうよ」



夏休みだということもあって、日中は友里がずっと瞬に付添い、夜は俺が付添うことになっている。



付添いといっても、完全看護の病院で、特にやることはないのだけど、友里も俺も、この状況で、家でジッとしてられなかった。

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